ようこそ10

あらすじ

「あいつ、帆波にお金貸す条件に……自分との交際を突き付けてる」

 

季節は春、3月を迎えた高度育成高校の1年生。だが3学期末試験時点で歴史上初めて退学者を出さなかった結果、1年の全クラスに追加の特別試験『クラス内投票』が実施されることとなった。それは生徒自身が退学者を選ぶ非情な試験。誰かが退学しなければならない。その現実を前に冷静な平田の声も届かずCクラスは分裂。疑心暗鬼が広がる中、裏切り者も現れ最大の危機を迎える。一方他クラスの状況はAクラスが早々と退学者を決め、Dクラスは龍園が退学濃厚。そんな状況の中、Bクラス一之瀬はクラスメイトを救うため南雲生徒会長とある取引をしようとしていた。だがその条件は一之瀬が南雲と交際するというもので――!?


感想

1年最後の最終試験が始まるかと思いきや追加特別試験が始まった。楽しみは最後においしく食べたい派だがなかなかにいじらしく感じてしまう。

 

追加試験はクラス内投票というものでクラス内で絶対に一人は退学者が出るというもの。ゲーム自体はシンプルで話の流れ的にも最終結果はかなり透けており、これまでの試験の中で一番結末がわかりやすいものだった。

結末がわかりやすかったから楽しめなかったのかと言われればそんなことはない。むしろ今までで一番面白かったかもしれない。

ゲームがシンプルであるがゆえにその過程がかなり練りこまれていた。特に退学者がでるという恐怖はこれまでと比較にならない面白さを生んでくれた。

自分さえ生き残ればいい。あいつが悪目立ちしているから集中的に投票しよう。人間の醜悪さがこれでもかと詰め込まれゾクゾクしたし、試験の本質が見えてる者と見えてない者とでの行動の差や立ち振る舞いは読んでいて気持ちが良かった。

 

沈んだ山内に関しては「ざまあ」とは思えず感情移入してしまった。坂柳に話しかけられたらそりゃ骨抜きになるし付き合ってめちゃくちゃしたいという山内の気持ちが痛いほどわかる。でもな、ああいう聡明な女性は見下せるぐらいの能力がないと釣り合わないんだぜと山内には言ってやりたい。

まあ、私がいざ山内の立場になると同じ道を歩むことになるのは疑いようのないことだが。

 

平田は終始道化だったなと感じてしまう。良いか悪いかの判断は小さい子でもできるだろう。でも、その先にいけるのは少数しかいない。さらにはその稀有な考えを他人に押し付けたらもう終わりよ。

彼の敗因は一之瀬のような準備を怠ったことだろうか(まあ普通はそんな準備しないし無理があるな)

次の巻から最後の試験であり坂柳との激突があるので楽しみにしたい。

 

表紙でもオラついてる南雲パイセン。来るはずのない一之瀬からの連絡をスマホを握りしめながら待っていたんだろうか……